202004/05
FREE FREE TALK

想像力を働かせてみればわかること。─フリーランスは弱者なのか─ #フリフリ007

FREE FREE TALK
2020.04.05

想像力を働かせてみればわかること。─フリーランスは弱者なのか─ #フリフリ007

2020.04.05
FREE FREE TALK

想像力を働かせてみればわかること。─フリーランスは弱者なのか─ #フリフリ007

※「フリーランスのフリートーク」とは、スタッフが独断と偏見と気分で綴るコラムです

 

こんにちは。後藤です。今日はちょっと刺激的なテーマで書いてみたいと思います。

先日、クライアント様にこう言われました。
「フリーランスってカッコイイものだと思っていたのに、最近のニュースを見たらなんかイメージが変わってしまいそうで…」
フリーランスをカッコイイものにしているのはきっとドクターXこと大門未知子で、イメージを変えてしまったニュースというのは新型コロナウイルスの保障対象にフリーランスが入らないことに対し「弱者にやさしくない!」という声があるからでしょう。

さて。ここまででもうおわかりでしょう。
技術を持ち、技術で社会に貢献したいフリーランスの地位を向上すべく「株式会社フリーランス」という逆説的な社名を語っている弊社にとって、この事態は由々しき云々かんぬん…

(*´ω`*)なんて言いません(笑)

いつ非常事態宣言が出るともわからない緊迫した状況で、阿鼻叫喚の職種は種々あります。
そして職種とは別の切り方をすると、働き方でもフェーズは様々です。
正社員は、リモートワークにならない不安、なったらなったで仕事をしているか疑われるストレス。契約社員は、契約延長してもらえるかの不安。もっと広く言うと、所属している会社が倒産するかもしれないという恐怖。

そして同時に、夜の歓楽街での感染が甚大と叫ばれていますが、利用者よりも現場で働く人たち…ここは4月4日時点では学校の休校に伴う保護者への休業保障要件に、風俗業は該当しないと言われている始末。

さて。一方のフリーランスですが。
まず、社員でも派遣でも契約社員でもパートでもないので、メンタリティがまったく違うというところに言及したいです。
基本的に平常時であっても己の仕事は己で確保し、自分の食い扶持は自分で確保して生きているのがフリーランス。
ですので、実は現状のような非常事態になっていても、メンタルはあまり変わらないのです。

もちろん、フリーランスも十人十色で、主に受けの仕事をしているクリエイターはこの状況で仕事が減るのは目に見えていますし、私を含めた自力で仕事を確保している営業系フリーランスも状況は同じです。
ただ、もともとからさして保障などされずにきていますので、「フリーランスや個人事業主に保障がないのはかわいそう」というSNSでの声を見ると、「うーん、もともとそうなんだけどな」と思いますし、それを「かわいそう」と上から目線で言われることに若干の戸惑いもあります。

中には社員になれずにフリーランスの道を歩まざるを得なくなった人もいます。しかし、実は社員という働き方に嫌気がさし、自分で自分の食い扶持を確保し地道に稼いで生きていく道を選んだ人がいることも知ってもらいたいです。自分で自分の腕一本で食べていくということは、日々情報収集や技術向上のための研鑽を惜しまないというか、それが普通なので、より特化した仕事を頂くことができるようになるという主体的な生き方が心地よいとさえ思っていて、固定給で時間と場所を縛られる生活には戻れないとつぶやくフリーランスも多いのです。意外かもですが。
(事実私の周りのフリーランスは、「社員にしてあげるから」とか「社員になれるから」と言われても「いやー、いいっす」っていう人が結構います。無双感ハンパないっスw)

そしてフリーランスはもともと自分で自分の仕事を確保しているので、本業で仕事が減ったらアルバイトをする道もありますし、「今はお金よりも困っている地域や人のために何かしよう」と思って自分の時間をそこに集中させることもできますが、サラリーマンにはその自由もその発想に至る思考の自由さもなかなかないのではないかと思います。
フリーランスは、日本の社会構造的にはかわいそうなのかもしれませんが、自分の人生を主体的に生きる自由度が高いという意味では、実は結構豊かな生き方だと私は考えています。
そしてこれは弊社HPにも書いていますが、元来人間はひとつの組織・職種に縛られることなく、必要なところに自分の能力を活かす場があれば添わせることができる、フレキシブルな働き方をしていたのだと思っているので、こちらのほうが割と自然な気すらしています。
(だからといって、いまのサラリーマンをどうこう言うつもりはありません。フリーランスの多くは企業から仕事を発注頂いて成り立っていますからね)

長くなりましたが、これは私を含め全員に言えることだと思っていることがあります。
それは、上記のようにフリーランスにも色々あって、明日生きていくのにもしんどいフリーランスもいれば、そうしたことも覚悟してその道を選んでいるフリーランスもいるということです。
それはどういうことかというと、想像力を働かせることを止めてはいけない、ということ。
フリーランスと聞いて「あー、でも色んな人がいるよね」と思えるかどうか。もちろん、そのためにはフリーランス自身もしっかり自分のスタンスを社会に認知してもらう必要があるのですが。
(そのために株式会社フリーランスがある、という話をしはじめると宣伝みたいになるので「致しません」笑)

新宿の歓楽街に今も通い続ける人たちの「消毒もしない、濃厚接触しても自分は大丈夫と息巻いている迷惑加減」についてその実態を訴えているキャストさんのブログがあります。
インスタのストーリーズにおでかけした様子をUPしていて反感を買っている人もいます。
これはまさに想像力の欠如ではないかと思うのです。
いまの日本での一番大きな境界は、
自分はかかっても大丈夫(若いし免疫もあるから)
と思っている層と、
自分はかかっても大丈夫だけど、誰かに媒介してしまうキャリアの可能性がある
と考えて行動している層ではないかと思います。

前者がばらまき行為を繰り返していて、
後者は不要不急と言われながらも仕事はしないといけないし、友人知人の経営する飲食店がヤバイと聞いて行ってあげたいけどそこでもらったりばらまいたりしやしないかとヒヤヒヤしながら「いま経済を回していいのか、じっと止まるべきなのかが判断ができなくて苦しい」人ではないかと思っています。

みんなが後者であればきっと爆発的な感染には至らないのではないかと。一部の考えのない人が社会を狂わせているのではないかと…。
しかしこれは、「じゃあそういう奴をあぶり出して粛清すればいいじゃないか」となりそうですが、そういう「考えなしに行動する人」に、自分も別の場面でなっていないかと立ち止まって考えることも必要なのではないかなと思います。

今回の新型コロナについては動きづらく苦しい想いをしているけれど、フリーランスを弱者と一方的に決めつけて「良かれと思って」かわいそうとつぶやくことも同じようなものではないかと思うのです。
同じコロナの件でも、多層で考えると想像力の欠如ポイントはみな持っていると思います。

どんなフェーズでも、どんなレイヤーでも、想像力を働かせることの大切さ。
今一度、私は肝に銘じたいと思います。
「ここまで考えたうえでのこの意見です」
があると、本質的な対話ができます。感情ではなく、建設的な解を導き出すための共同作業になるからです。
そしてその想像力のためには、もうひとつ必要なことがあると思っているのですが、それはまた別の機会に。
もちろん、心ある、そして向上心のあるフリーランスの地位向上のために、これからすべきことも考えます。

想像力。これは未知のウイルスから人類に叩きつけられた挑戦状のように思います。

© Freelance Inc.